つれづれ寄稿 コラム 株式会社館林博善社

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館林市の歴史文化財を巡るウォーキング

館林市の歴史文化財を
巡るウォーキング

館林市の歴史文化財を巡るウォーキング

群馬県館林市は、江戸時代に館林城があった城下町であり、歴史的建造物や文化財が多く残っています。群馬県の東南部に位置し、東京から約1時間でアクセスできる便利な場所ですので、県内外から多くの観光客が訪れます。

また、日本遺産に認定された「館林の里沼」という豊かな自然環境にも恵まれた土地です。
多くの自然と歴史が息づく館林市は、散策しながら巡るのにとても良い街です。

歴史と文化のある館林市のおすすめウォーキングコースを2つご紹介いたします。

歴史的建造物を訪ねて「歴史の小径」

歴史的建造物を訪ねて「歴史の小径」

歴史文化財を巡るウォーキングコースとしては、「歴史の小径」がおすすめです。
「歴史の小径」は、館林駅前から旧鷹匠町までの歴史的な建造物を結ぶ約1.5kmの散策路です。

市民の提案に基づいて整備された歴史的構造物を繋ぐ散策路で、徳川四天王の一人、榊原康政や5代目将軍徳川綱吉公にゆかりのある城下町には、江戸時代から残る歴史的建造物や、古い商家などが点在しており、歴史的風情を感じることができます。

「歴史の小径」では、以下の施設を巡ることができます。

館林駅

館林駅

館林駅は、1907年に東武鉄道が川俣から足利まで開通した際に開業しました。1937年には木造駅舎が竣工し、現在の橋上駅舎及び東西連絡通路は2009年に完成しました。「しゃれた模様の窓がある洋館風の駅舎で小規模ながら歴史を感じさせる駅」として、『関東の駅百選』に1998年に選定されています。

竜の井

善導寺(館林藩主榊原家の菩提寺)の境内にあった井戸ですが、善導寺は館林駅前の再開発で楠町に移転し、竜の井だけこの地に残りました。
竜の井には、城沼に棲む龍神の妻が人間の姿で説法を聞きに来て、その後井戸に姿を消したという伝説があります。この伝説にちなんで、竜の井は善導寺の守護神として大切にされてきました。

毛塚記念館

毛塚記念館は、江戸時代後期から末期(1830~1867年)に建てられた、木造2階建て、切妻、瓦葺き、平入の町屋(商家)建築の建物です。
元々「丸木屋」という屋号で酒造業を営んでいた老舗で、1954年に「分福酒造」と改称しました。
館林城の城下町として多くの町屋が軒を連ねていた時代の商家建築を伝える貴重な存在です。1998年に国の登録有形文化財に登録されました。現在は資料館として当時の道具や家財、資料などが展示されています。

大道寺

大道寺は館林市本町にある浄土宗の寺院です。
元々善導寺の別院として見松院と称し、善導寺の寺務諸役を司っていましたが、明治時代に入ってから善導寺から独立し、中興開基となった大道寺氏から寺号を大道寺に改めました。
境内には、田山花袋の算術の師である戸泉鋼作や、館林藩士で国学者の生田萬父祖の墓があります。

旧町屋地区の住宅

館林市本町にある旧町屋地区は、間口が狭く奥行きの長い形状をした江戸時代の町屋があった場所です。
城下町である、町屋の雰囲気を残した住宅が今もなお点在しています。

青梅天満宮

青梅天満宮は、館林市本町2丁目にある神社です。日本四社の一つとされる菅原道真を祀る天満宮で、青梅天神とも呼ばれます。
青梅天満宮の由緒は、菅原道真が大宰府に左遷された際、楊枝に刺した梅の実を東西南北に投げたという伝説に基づきます。そのうち東に投げた梅の実が上野国館林に飛んで根付き、青梅天神になったとされます。
青梅天満宮の社殿は、本殿、幣殿、拝殿、額殿などからなります。拝殿の格天井は、浮世絵師北尾重光が描いた色鮮やかな動植物が見事です。境内末社には神明宮、琴平宮、妙義神社があります。

外池商店

外池商店は、江戸時代中期に滋賀県から館林に移住して創業した「和泉屋」という屋号の造り酒屋です。明治時代後期からは、醤油、味噌の製造業も営んでいました。
外池商店の現在の店舗は、1929年に建築されたものです。木造2階建て、切妻、瓦葺、平入り、桁行4間、1階正面は下屋が張り出し、2階は格子戸の建物は、見るからに歴史風情を感じます。
毛塚記念館と同様に館林旧城下町に残る本格的な町屋の建物です。
敷地内には、「百々歳蔵」と名付けられた土蔵があります。この土蔵は創建当時に建てられたもので、近年改修されて多目的利用されています。

旧二業見番組合事務所

旧二業見番組合事務所は、1938年に建てられた木造2階建ての建物です。芸妓屋業と料亭業の二業を取り仕切る事務所として使われていました。
館林の花街の中核をなす歴史的な建造物で、近代和風の意匠が特徴的です。外観は左右対称で、玄関には大きな唐破風屋根があります。内部には芸妓の練習舞台や色鮮やかな天井画があります。
2016年に国の登録有形文化財に登録されました。

青龍の井戸

青龍の井戸は、館林市本町にある井戸です。青龍神社の境内にあり、青龍天神とも呼ばれます。
徳川綱吉が館林城主だった時代に、この井戸から女官姿の清龍権現が現れたという伝説があります。清龍権現は綱吉に「生類憐れみの令」を出すように勧めたと言われています。
青龍の井戸は、竜の井や城沼と繋がっているという伝説もあります。

鷹匠町長屋門

鷹匠町長屋門

鷹匠町長屋門は、旧野辺町(三野谷)の豪農であった「松沢家」の長屋門を利用して、武家屋敷長屋門として2009年に新築されました。武家の屋敷門の一つである長屋門は、長屋の間に門があることからそう呼ばれています。
江戸時代には、門の両側の部屋を使用人の部屋や物置として使っていました。

鷹匠町武家屋敷武鷹館

鷹匠町武家屋敷武鷹館

鷹匠町武家屋敷武鷹館は、江戸時代に館林城下に住んでいた中級武士の住宅を移築復元したものです。
1999年に館林市指定重要文化財に指定されました。
鷹匠町と呼ばれていた地区にあり、鷹匠町は、江戸時代に鷹狩用の鷹を飼育する鷹匠が住んでいたことから名付けられた地区で、武家屋敷が多く立ち並んでいました。

土橋門

土橋門

土橋門は、館林城の三の丸への入り口にあたる通用口として使用されていた門で、現在の門は1983年に復元されました。土橋門という名は、門前の内掘に土橋がかけられていたことから名づけられたと言われています。
土橋門は、控え柱とくぐり戸のある薬医門と呼ばれる形態で、屋根は出土した瓦を参考に切妻屋根の本瓦葺きです。門の内側は防御のための蔀土居(しとみどい)が設けられ、外部から中が見えにくい造りになっています。

第二資料館

第二資料館は、館林に残された歴史的建造物や構築物を敷地内に移築し、「歴史の森」として整備した博物館です。
1998年に館林市指定重要文化財に指定されました。
敷地内には旧上毛モスリン事務所、田山花袋旧居、旧二業見番組合事務所、旧毛塚記念館、旧大道寺、旧善導寺などの建物が展示されています。これらの建物は、江戸時代から昭和時代にかけての館林の歴史や文化を伝える貴重な遺産です。

旧秋元別邸

旧秋元別邸は、明治末期に建てられた近代和風建築の建物で、館林市指定重要文化財に指定されています。
元々は上毛モスリンの重役の別荘として建てられたもので、大正時代に旧館林藩主秋元家の所有となりました。
館林城の旧八幡郭に位置し、木造平屋建て、入母屋、瓦葺きの主屋と、下見板張りペンキ仕上げの洋館風の離れ座敷からなります。
主屋の庭園側はほぼ全面ガラスの引き戸で構成され、庭園を眺めることができます。
敷地内には、東京駿河台の秋元家の屋敷から移築された石灯籠や庭石、毛利教武が製作した「秋元春朝投銅像」などがあります。

以下のリンクから「歴史の小径」マップをダウンロードすることができます。

◆参照:館林市 歴史の小径パンフレット

館林の里沼やアニメの聖地などの自然と文化

館林の里沼やアニメの聖地などの自然と文化

館林の自然と文化を満喫できるおすすめウォーキングコースは、「宇宙よりも遠い場所」の聖地巡礼コースがおすすめです。

群馬県館林市は「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」に2年連続で選定され、県内で唯一「アニメの聖地」として地元有志と連携して地域活性化が行われています。

主に国内パート(1〜5話)の舞台となっており、

  • 館林の町並み
  • 茂林寺前駅
  • 館林駅
  • つつじが岡公園

など主要観光スポットが登場し日帰りで巡れる丁度良い規模感の巡礼コースです。

以下のリンクから「宇宙よりも遠い場所」聖地巡礼マップをダウンロードすることができます。

◆参照:「宇宙よりも遠い場所」聖地巡礼マップ

また、館林市には「里沼」という自然豊かな湿地帯があります。
里沼は、国の天然記念物に指定されており、多くの野鳥や植物が生息しています。
城沼(じょうぬま)、多々良沼(たたらぬま)、茂林寺沼(もりんじぬま)などの里沼があり、それぞれ「守り」「実り」「祈り」の役割を果たしてきました。

館林の里沼

「守り」の沼である城沼は、館林城の外堀として利用され、歴代の城主によってつつじの名園「躑躅ヶ岡(つつじがおか)」や大名庭園が造られました。城沼には龍神伝説やつつじ伝説も残っています。
現代では、ツツジや花蓮をはじめ季節ごとに様々な植物を楽しむことができる憩いの場となっています。

「実り」の沼である多々良沼は、江戸時代に開拓された新田であり、水田や畑を潤す灌漑用水として重要な役割を果たしました。ハスやアサなどの水生植物が栽培され、食用や工芸品に利用されてきました。
現代では、沼の周囲に「彫刻の小径」や群馬県立館林市美術館があり、年間を通してウォーキングと芸術を楽しむことができます。

「祈り」の沼である茂林寺沼は、鎌倉時代に開かれた茂林寺の境内にあり、仏教信仰や水辺信仰の場として人々に親しまれてきました。
茂林寺は日本昔話で有名な「ぶんぶく茶釜」の舞台となったお寺です。
茂林寺沼ではカキツバタやミズバショウなどの花が咲き、湿原植物の宝庫となっています。

◆参照:里沼へのアクセス

まとめ

まとめ

館林市には、城下町であった時代からの歴史的建造物や、湿地帯の貴重な生態系など、天然記念物や指定文化財を身近に感じることができる街です。

稀少価値が高い宝物が、市民の生活の中にさりげなく溶け込んでいるように感じます。生垣や門柱の礎など、歩いてみなければ発見できないものも沢山あります。

どのコースをウォーキングしても、満足できることでしょう。季節ごとに景観が違うのも、ウォーキングをする楽しみとなりますね。